世界を魅了した日本の「おもてなし」。
現代はモノが溢れすぎており、
少し前のような商品力や技術力だけではお客様の心をつかむのが難しくなってきました。
ここで重要となってくるのが人によるサービスです。
心のこもった「おもてなし」は、人にしかできない感動を与えるサービスなのです。
心のこもったおもてなしとは?
心のこもった「おもてなし」は、IT技術が進化した現代でも人にしかできないサービスです。
日本のおもてなしは、最上級の心遣いです。
心遣いとは、マニュアル化し、どのお客さまにも同じように対応することではなく、
一人一人のお客様にあった対応を考え実行することです。
「どうすれば喜んでもらえるか、満足してもらえるか」を常に考え、
行動に移すことが「おもてなし」であるのです。
目配り、気配り、心配り
みなさん一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「目配り、気配り、心配り」こそ、おもてなしの本質です。
決して前に出すぎず控えめでありながらも、その場にいない相手に対して心を込めて準備をする。
自分のことだけでなく周囲にも注意を払い、目を向けるのが「目配り」です。
相手が困っていることがないかを配慮し、言葉で投げかけるようなことを「気配り」、
相手の心の内をくみ取り、何をしてほしいのかを察し行動する、
「相手の心を気遣って自分の心を遣う」ことこそ「心配り」です。
そのための努力は決して出さず、主張せず、もてなす相手に気を使わせないように配慮する。
それがおもてなしです。
この「相手に気を使わせないように配慮する」ことは簡単ではありません。
例えば、洋服を買いに行って商品を見ていると、
試着を進められたり、店員がどこまでもついてきたり、「なんだか面倒だな」「静かに見させてほしいな」
と思ったことはありませんか?
これは店員にとってはサービスですが、お客様にとってはありがた迷惑になっている典型的な例です。
おもてなしとは見返りを求めないものです。
商品を買ってもらうことを目的にするのではなく、
「お客さまを困らせないように配慮する」「お客さまの求めていることを静かに読み取る」ことが
サービスを超えたおもてなしの精神です。
お客さまのための努力はけっして表には出さず、一人一人にあわせた工夫をすることで、
知らず知らずのうちにお客さまが心地よさを感じているのです。
おもてなしによる効果
おもてなしを感じることによってどのような効果があるのでしょうか。
株式会社OMOTENASHIの調査結果によると、
日本人の約6割が心地よいおもてなしを体験したことがある、と回答しています。
では、このおもてなしを体験した人は、企業に対してどのような感情を持ったのでしょうか。
調査によると、企業への愛着や信頼が「非常に高まった・高まった」と回答した人が約75%もおり、
おもてなしによって企業に対するイメージや愛着が高まることがわかっています 。
このように心を込めたおもてなしに取り組むことで、
企業とお客さまの間で健全な信頼関係が築かれる効果があると言えるでしょう。
おもてなしはお客さまの期待を上回ることで、リピートにつながります。
企業に対して愛着や信頼を得ることでファンになってもらえれば、
自然とリピートや他の顧客の紹介につながっていきます。
人を感動させられるのは人だけ
今の時代、顧客のニーズが多様化し、移ろいやすくなっています。
また技術力や商品力が優れた商品は山ほどあり、モノであふれている時代でもあるため、
どのようにお客さまの心をつかむかが重要になっています。
商品による差別化が難しくなっている時流なので、
他社と差別化するためには人によるサービスが必要不可欠です。
IT化がどんどん進んでいますが、人を感動させられるのは人だけではないでしょうか。
マニュアル化されたサービスではなく、お客さま一人一人を大切に思いながら
「喜んでいただけるためにはどうすればよいか」「感動を与えるためにはどのような行動をすればよいか」
を考えおもてなしをすることが重要です。
設備や機能的な部分では、何度もリピートしてくださるお客さまの場合、
感動のレベルが下がっていきがちですが、
人によるサービスやおもてなしは、何度でも感動のレベルを上げることが可能です。
例えば、数年前に来店されたお客さまに対して
「○○様、ようこそおいでいただきました」と名前を添えて挨拶することで、
「もう何年も来ていないのに名前をおぼえてくれている」と感動していただくことができます。
ほんの些細な心遣いですが、この一言でお客さまの企業への信頼度はぐんと増します。
今後どれだけ機械が進化しても、人を感動させられるのは人によるふれあいなのではないでしょうか。