よく耳にする接客用語のひとつに「少々、お待ちください」というものがありますよね。
本当にお客様をお待たせしまう場面では、この言葉はふさわしいと思います。
ですが、決して待たせる状況ではないにも関わらず、つい反射的に「少々お待ちください」と言ってしまう・・・。
最近、特に多くなってきているなあと感じたことがありました。
例えば、店内にいるどのスタッフも皆、口を揃えて
「少々お待ちください」「少々お待ちください・・・・・」
を繰り返していたら、あなたはどう思いますか?
先日、打ち合わせのカフェで、近くを通りかかったスタッフさんに、
「すみません。デザートメニューを見せていただけますか?」
と声をかけたときのことです。
ほんの少し手を伸ばせばデザートメニューがあり、
実際に持ってきてくれるまでにほんの数秒でしたが、
まず出てきた言葉は、「少々お待ちください」だったのです。
また、こういうこともありました。
銀行の窓口で「ちょっとこちらに書かれている事柄についてご質問させていただきたいのですが・・・」
と申したところ、間髪入れずに「少々お待ちください。」
(でも実際は、待つことなくすぐに対応していただけました^^)
お待たせしないのに「少々お待ちください」とつい言っていませんか?
接客という仕事を選んだ人の多くは、
「お客様に喜んでいただきたい」「お客さまのお役に立ちたい」「お客様にお喜びいただきたい」
等というような気持ちを持っている方だと思います。
そうであればこそ、これを機にもっとその気持ちを表現できる接客用語に切り替えてみませんか。
ポジティブな言葉を使ってみてはいかがですか?
待たせることなくお持ちできる時には、ぜひ
「ただいまお持ちいたします」「すぐにご用意いたします」
というポジティブな言葉を使ってみてください。
また、先ほどの銀行窓口でしたら、
「すぐにお調べいたします。」「ただいま、分かる者と変わります」
と言った方が感じよく受け取られます。
なぜならこのようなポジティブな言い方のほうが、「お客様を待たせる前提」ではなく、
「すぐにやります!」というプラスの気持ちを受け取っていただけるからです。
もしも、時間を要する時には「少々お待ちください」は適切ですが、
逆に少しではない時間お待ちいただくこともあるかと思います。
そのような時には、
「○○分ほどかかる見込みでございます。もう少しお時間をいただけますでしょうか」
と具体的な時間をお伝えすることをお勧めします。
なぜなら、待ち時間の目安がわかるだけでお客様は安心して待つことができるからです。
「まだかな?遅いなー。いったい何分待たせるのよ〜?(ムッ)」
「もしかしたら、ちょっと忘れられてるんじゃないのー?(イライラ)」というような
不快の感情が湧き出ることもかなり軽減されます。
このように「状況に合わせた言葉がけ」を使い分けることがポイントです。
「目の前のお客様」を大切にしていますか?
決められた接客用語やマニュアルに載っているフレーズ、それを使うことは決して悪い事ではありません。
しかし、マニュアルに記載された言葉だけで全てを網羅できるわけでもありません。
つまり接客をしているあなたがお客様を前にして感じること、
お客様の表情や様子から得られる情報、店内の環境など等々、
たくさんの情報を擦り合わせた結果、どう対応するのかがとても重要なのです。
それが「生きた接客」、ロボットにはできない生身の人間にしかできない接客です。
ついつい発作的に考えることなく習慣的に多用している接客用語だとしたら、
時には立ち止まって「その言葉の先のお客様にはどう響くのかな?」
という視点で振り返ることも大切だと感じた出来事でした。