ホテルのランチで感じた“ちょっとした違和感”
先日、ある都内のホテルでランチをいただきました。
そこは一流のラグジュアリーホテルではありませんでしたが、
それでも“ホテル”という名を冠している以上、一定の接客レベルへの期待を抱いてしまいました。
到着してすぐ、張り紙が目に入りました。
「調理長が急病のため、ディナー営業は中止いたします。」
突然のこととはいえ、少し不安がよぎります。
ランチは提供されていたものの、メニューはわずか5品ほどに限定されていました。
私はその中から、トマトソースのパスタランチをオーダー。
前日に胃カメラ検査を受けていたため、辛さの度合いを確認したくて、スタッフに尋ねたのです。
「たぶん○○です」は答えになっていない
私のテーブルに来てくださったのは、年配の女性スタッフ。
しかし最初の一言から、
「えーっと……えっとですね……あの……」と、“えーっと”が連発。
メニューはたったの5品。
その中の一つについて質問されたときに、これだけ言葉が詰まってしまうのは、準備不足の印象が漂い・・・。
辛さについて尋ねた際の返答も、
「たぶん、大丈夫だと思いますね。」
……たぶん、という言葉は「確認していません」という意味でもあります。
ですが、お客様がなぜ、質問するのかというと、「確かな情報」が欲しいからです。
曖昧な表現が“プロ意識”を疑われる瞬間
もちろん、スタッフ側にも「確信がないから、無責任に断定はできない」という意図があることは理解できます。
ですが、それならばこう伝えてほしかった。
「少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか。念のため確認いたします。」
この一言があるだけで、「この人は信頼できる」という印象になります。
逆に、「たぶん」「思います」「大丈夫だと思います」と言われた側は、自分に都合よく解釈してしまいがち。
その結果、「スタッフが大丈夫と言ったのに!」と、思わぬトラブルへと発展してしまうこともあるのです。
“AI時代の接客”にも必要なのは「準備」と「丁寧な言葉」
今は、何でもAIが答えてくれる時代。
でも、接客においては“人の言葉”こそが信頼の源になります。
実際、最近では「AIまとめ」が検索画面の上位に表示されることが増え、
お客様は“人ならではの対応”により価値を感じるようになっているのです。
だからこそ、スタッフ一人ひとりが、
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よくある質問への対応を準備しておく
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言葉の選び方に配慮する
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確認が必要なときは、きちんと確認を取る
という基本を徹底することが、AI時代の“選ばれる接客”につながっていくのではないでしょうか。
選ばれる接客は、たった一言の“誠実な確認”から
接客の現場では、ほんの一言が信頼をつくり、ほんの一言が不安や不信を生むこともあります。
「たぶん」ではなく、
「ただいま、すぐに確認いたしますね」
この一言が、お客様に安心を届けます。
時代が変わっても、選ばれ続けるスタッフは、“準備”と“誠実な言葉”を欠かしません。