そもそもホスピタリティ経営とは?
接客を“現場任せ”から“売上を生む仕組み”に変える方法です。
接客を現場教育のテーマではなく、経営の仕組みとして設計し、売上・紹介・ブランド価値を生み出す“再現可能な接客体制”をつくる経営手法なのです。
【結論】
接客・接遇は、現場の努力や研修だけでは企業の強みになりません。
経営が設計し、組織全体で再現できる仕組みにした企業だけが、長期的に選ばれ続けます。
ホスピタリティはセンスでも性格でもなく、
仕組みに落とし込まれた瞬間に 「売上を生み続ける経営資産」へと変わります。
これは理想論ではなく、 航空業界や一流ホテルの現場で実際に行われている“運営の事実”です。
【なぜ接客研修だけでは成果が出ないの?】
「接客研修をしているのに成果が出ない」
その背景には、次のような構造があります。
・接客が現場任せになっている
・教育がOJT頼み
・優秀な人材に依存している
・忙しくなると接客が後回しになる
・クレームは個人指導で終わる
これでは接客品質は安定せず、
結果として売上やリピート率にも直結しません。
つまり、問題は“接客の質”ではなく
接客が経営の仕組みに組み込まれていないことにあります。
【接客を仕組みにしないと起きる問題とは】
私は国際線ファーストクラスCAと、
ホテルニューオータニのフロントレセプションの現場で働いてきました。
そこで痛感したのは、
一流の現場ほど「個人の頑張り」に頼らないという事実です。
◆ 国際線ファーストクラスでの経験
ファーストクラスのサービスは、
「優秀なCAがいるから成り立つ」のではありません。
裏側では、接客が徹底的に設計されていました。
・お客様の名前や嗜好の事前共有
・お声がけのタイミングのルール
・お休み中の対応基準
・ブランケットの掛け方まで統一
新人時代の私は、良かれと思ってお声がけをし、
お休みになっていたお客様を起こしてしまいました。
そのとき先輩に言われた言葉があります。
「気持ちは素晴らしい。でも
ファーストクラスは“良かれと思って”が一番危険なの。」
一流の接客は“気持ち”ではなく
設計された安心感の上に成り立っているのです。
◆ ホテルフロントレセプション時代の失敗
ホテルのフロントレセプションで働いていたときのこと。
お疲れの様子のお客様に配慮し、
あえて会話を控え、静かにチェックイン手続きをしました。
しかしアンケートにはこう書かれていました。
「歓迎されている感じがしなかった」
そのとき気づきました。
“配慮”と“歓迎”は別物であり、
歓迎を伝える設計は全スタッフ共通で持たなければならない。
一流ホテルでは
・必ず最初に歓迎の言葉を伝える
・会話量は調整しても“温度”は下げない
・滞在目的を自然に聞き出し共有する
という接客の構造がありました。
これが個人のセンスではなく、
組織としての仕組みの力です。
【接客を経営の仕組みにする具体的な方法】
企業が接客を経営の仕組みに変えるために、まず取り組むべきことは次の5つです。
① 理想の接客を“行動レベル”で言語化する
✖ 心のこもった接客
◎ 初来店のお客様には30秒以内に声をかける
✖ 丁寧な対応
◎ 語尾は「〜でございます」で統一する
再現できない接客は、仕組みになりません。
② 接客を評価制度に組み込む
評価が売上だけなら、現場は売上だけを優先します。
評価項目に
・挨拶の質
・クレーム後のフォロー
・チームへの良い影響
を入れることで、接客は“努力目標”から
会社の正式な方針に変わります。
③ 優秀な人の接客を標準化する
「あの人はすごい」で終わらせない。
・どんな言葉を使っているか
・どの順番で対応しているか
・どこに目を配っているか
これを言語化し、
会社全体の共有財産にします。
④ クレームを仕組み改善の材料にする
クレームは個人の失敗ではなく、仕組みのヒント。
・なぜその状況が起きたのか
・忙しさ?導線?教育不足?
・再発防止の構造は何か?
これを経営視点で分析すると、
クレームは企業の成長データになります。
⑤ 経営者が接客のスポンサーになる
一流企業ほど、トップが接客に関心を持っています。
・良い接客を直接褒める
・お客様の声を社内で共有する
・現場の様子を見に行く
これにより、接客は義務から誇りへ変わります。
【まとめ】
ホスピタリティ経営とは、
接客を研修テーマではなく
企業の競争力を生む経営設計に昇格させることです。
航空業界も一流ホテルも、
感動は偶然ではなく、設計された必然でした。
✔ 接客を言語化する
✔ 評価制度に入れる
✔ 優秀事例を共有する
✔ クレームを仕組み改善に使う
✔ 経営が現場の接客に関心を持つ
接客はセンスではなく、育てて守る「会社の文化」です。
その文化を仕組みで支えることこそが、ホスピタリティ経営なのです。
特に、店舗ビジネスやサービス業で「スタッフによる接客の差」に悩む経営者の方にこそ、
知っていただきたい考え方です。



