接客マニュアルは「ある方がいい」その理由
接客マニュアルの取り扱いについては、いろいろなご意見がありますが、
私は『接客マニュアルはある方がいい』という考えを持っています。
と申しますのも、それがあることで、
『最低限の接客サービスの品質が保てるから、というのがその理由です。
スタッフの人数や店舗数が増えていくにつれてやり方のばらつきが出てくると、
お客様を混乱させる要因にもなりますし、
スタッフ自身が迷う原因になると考えているからです。
「マニュアル人間」になってしまう現場の課題
ところが、マニュアルに固執し、融通が効かないスタッフの代名詞として
「マニュアル人間」というような言葉を耳にすることがあります。
自分で考えることをやめてしまったのか、
まさに「書いてあることしかできない」
という残念な状態を指す言葉ですね。
また気持ちとしては、
臨機応変な接客がしたいと思いながらも、
マニュアルを超えた対応の許容範囲の判断が難しく、
致し方なくマニュアル内でのサービスに留めておこうと
考えるスタッフもいると思います。
そのような思いを持つスタッフへの参考として、
私がマニュアルにないサービスを実施したときの判断基準についてご紹介したいと思います。
【実践事例】エコノミークラスで起きたマニュアル外の依頼
ホノルルに向かうフライトで、エコノミークラスを担当したときの話です。
「もしできたらでいいんだけれど、スポーツ新聞を何紙かもらうことはできないかな?」
とある男性のお客様から声をかけられました。
機内にある新聞は、販売したり、差し上げたりするものではなく、
多くのお客様に機内で有意義な時間をお過ごしいただくための
サービス備品として用意してあるものです。
また、マニュアルには差し上げていいとも、いけないとも書いてありません。
私は、そのお客様のご様子から何か特別なご事情があるのではないかと思い、
「何か特別な記事が掲載されているのですか?」
と質問したところ、お客様は嬉しさいっぱいという感じの笑顔で
『実は、母校がラグビーで日本一になって、活躍記事がたくさん載っていたから、記念に欲しくて…』
とおっしゃいました。
マニュアル外対応の3つの判断基準
お客様からそのようなことを聞き、
もちろん何とかご希望に沿いたいという気持ちが湧いてきました。
気持ちとしては、「ええ!!どうぞどうぞ!!いくらでも持っていってください!!」
とすぐに言いたいところでしたが、
マニュアルにはない対応の判断基準として
少し冷静に考えるべきポイントを挙げておきたいと思います。
①お客様が、この対応はスタンダードではないと理解くださっていること
お客様によっては、一度受けた特別な対応について
『前はそうしてもらった』と
毎回それが可能であるという解釈をされる方もいらっしゃいます。
それによって別の便の乗務員が困ってしまうこともありますので、
今回は「特別」ということをご理解くださっているかどうか。
このお客様は、『できたらでいいんだけれど…』とおっしゃっていて、その心配はないと判断しました。
②他のお客様が不公平感を持たないこと
お渡しするタイミングは、すべてのサービスが終了し、
他のお客様からもスポーツ紙のご要望が出ない着陸前にしました。
その際には、中身が透けない機内販売用の袋を活用し、
他のお客様が不公平感を抱かないように工夫しました。
③その対応によって他のお客様への接客品質が低下しないこと
新聞をお渡しする行為自体は時間もかからず、他のお客様へのサービスに影響を与えません。
タイミングを工夫することで、この基準もクリアできると判断しました。
報連相の重要性:一人で判断しない
そして客室責任者にも報告しています。
一緒に働く上司や先輩にも相談したり、許可を得ることも大切なことです。
報連相も忘れずにしてくださいね!
マニュアル外の対応だからこそ、
組織として適切なプロセスを踏むことが、
あなた自身を守り、サービスの質を保つことにつながります。
まとめ:マニュアルを超える判断力を身につける
マニュアルに固執して柔軟な対応ができないのは残念です。
しかし、マニュアルを無視して独断で動くのも問題です。
あなたの会社は、どんな場合にマニュアルを超えた対応をするのか、
その判断基準が明確になっていますか?
今回ご紹介した3つの判断基準は、あらゆる接客の現場で応用できます
1. お客様が特例であることを理解しているか
2. 他のお客様に不公平感を与えないか
3. サービス品質全体に悪影響がないか
そして必ず、報連相を徹底すること。
この判断基準を持つことで、あなたは「マニュアル人間」ではなく、
「状況に応じた最適な判断ができるホスピタリティのプロ」へと成長できるはずです。



