接客において大切なことはたくさんあります。
その中でも特に重要なのは「距離感」なのではないでしょうか。
先日、雑誌でも評判の高い、初めて行った美容院でこんなことがありました。
席に着くや否や担当の美容師さんに
「お仕事、何されているんですか?」
「今日はお休みですか?」
「これからどこに行くんですか・・・?」
「昼食はどちらで食べるんですか?」等々
質問攻めに会いました。
・・・申し訳ないんですが、正直「なんかツラいかも。」と思ってしまいました。
だって、これって「質問」を通り越して「詰問」もしくは「尋問」なんですもの〜。
(私はどちらかというと、おしゃべりするのは得意じゃないの。黙って雑誌を読みたいタイプなの。)
とも言えず・・・。
この美容師さんは、決して悪気は無いと思うんです。
むしろ、親しみのあるフレンドリーな接客のつもり・・・
とはいえ、危険〜!
ということで、私が考える親しみと馴れ馴れしさの境界線について書いてみようと思います。
親しみと馴れ馴れしさの履き違い
もちろんこういう距離感の近い接客を好まれるお客様もいらっしゃいます。
合う合わないはお客様がお決めになることなので、こういうのがお好きな方はこれで良いんです。
ただ、私には合わなかった・・・。
なんだか「モヤモヤ」しました。
それは、なぜなのでしょうか。
・・・それは、相手の望む適度な「距離感」ではなかったからです。
完全にお客様との距離感を間違えてしまった対応をしていたからです。
それと、もう一つ気になったのが、「うん。うん、うん」という相槌。
これって、危険がいっぱいだと感じました。
「うん、うん」という相槌がクセになっていませんか?
もちろん数回のことならば、うっかりカジュアルな言葉が出ちゃったのね。とやり過ごせます。
でも、思いのほか習慣やクセになっている人ですと、
「うん、うん」という相槌を何度も発せられると非常に耳障りになってしまいます。
以前、洋服を買いに行った時に店員さんのこの「うん。うん。」がとても気になってしまったことがあり、
思わず「あん?」と聞き返してしまいました。(笑)ごめんなさいデス。
この時のスタッフさんは、自分がそんな相槌を打っていることは全く気がついていない様子で
キョトンとしていました。
(ですから、カクカクしかじか、私はこういう者で接客を中心にコンサルをしておりまして、
他の接客応対は素晴らしいのに、「うんうん」というお客様へのお声がけだけが気になったので、
お伝えした次第です。と素性を申し上げました。)
残念なのは、たとえ本人が意図的に親しみやすさを醸し出すために
あえて「うん、うん」と相槌を打っていたとしても
お客様はそれを「馴れ馴れしい」と感じてしまうことがあるんです。
そのようなズレは、「距離感」を完全に間違えて履き違えてしまった接客となってしまいます。
先ほども申し上げたようにお客様の中には、近い距離での接客を望まれる方ももちろんいらっしゃいます。
が、まずは基本に忠実にお客様にはきちんとした敬語で対応することをオススメします。
基本を知らない状態で「タメ口」を聞くのと
基本を心得た上で相手に合わせて応対の質感を変えることは
一見同じようで実は全く異なります。
「誰にでもくだけた応対」ではなく、
「いかに相手に合わせるか」が大切であり、
そのために少々、かたい接客になったとしても、
馴れ馴れしい印象を持たれるよりは、「丁寧な印象」の方が何倍も良いですよね。
相槌にも正しい敬語で対応
また相槌には色々あって、お客様が自分の知らないことを教えてくださった時には、
「勉強になります!」
「貴重なお話をお聞かせいただき有難うございました」
というような感謝の言葉も伝えるようにします。
お客様との楽しい会話は、接客の醍醐味です。
このような場面では、
乾いた声で「さようでございますか」ではなく、
イキイキとした表情と声でお客様への敬意と感謝をしっかりと表してください。
人間は、自分に興味・関心を持たれることに喜びや幸せを感じる生き物です。
だからこそ、
「あなたのお話を私はちゃんと聞いていますよ」
ということを伝えるための相槌は重要な役割を担っています。
その相槌でカジュアルな印象や馴れ馴れしさを与えてしまっては元も子もありません。
お客様の言葉をしっかりと受け止めているという安心感を与え、
敬意を感じていただくことのできる相槌には「誠実さ」が必要です。
距離感の難しい「うん、うん」ではなく、正しい敬語と溌剌とした表情と声で誠実な相槌を心がけましょう。