これは、自戒の念を込めて書いています。
仕事をしていると、「誰か・・・代わって・・・」
と思うような窮地に立たされることがあります。
特に、接客の世界はお客様とスタッフとの立ち位置が明確です。
お客様から厳しいことを言われたり、
時には、非がないにもかかわらず、怒鳴られることだって起こります。
難しいお客様への対応は、正直、心身ともに疲弊するものですし、
お怒りのお客様には怖ささえ感じることもあるでしょう。
そんなこともご経験かもしれませんが、どうか諦めずに逃げださずにお客様と向き合って欲しいと願うばかりです。
それが全ての解決につながらなかったとしても・・・。
なぜかというと、声を荒げて怒っているお客様や難しいことをおっしゃるお客様にも
「そこには必ず何か理由がある」からです。
そんな気持ちで向き合うことで、徐々にお客様が心を開いてくださるシーンを何度も経験してきました。
(泥酔しているお客様は別ですよ〜!ピシャッ!)
解決に至るまでには、胃がギューっと痛くなることも、
自分の不甲斐なさに情けなくなることもありましたが、
「どうにかして解決したい」「お客様を分かりたい」
「飛行機を降りる時には笑顔で降りていっていただきたい」
このような気持ちが原動力になっていました。
時効になりますが、搭乗前に大声で怒鳴り散らし、
JALを罵倒し、警備員さんまで呼び出すことになったお客様を新人時代、担当したことがあります。
「誰か担当を代わってほしい・・・」
と思う気持ちがなかったかといえば、大嘘になります(笑)
ですが、担当者になったからには、精一杯心を尽くすしかありません。
フライト中は他の乗務員と連携をとりながら最新の注意を払い、
かつ、他のお客様の前で怒鳴ってしまった気恥ずかしさを感じさせることのないように
親しみを込めて接することを到着まで念頭におきました。
最終的には、そのお客様は飛行機を降りられる際に深々と頭を下げてお礼を述べてくださいました。
怒りに体を震わせていたお客様が、穏やかな表情で降りて行かれる光景を見て、
本当に良かったと安堵したことを鮮明に覚えています。
このような瞬間を迎えるたびに、お客様から逃げずに向き合って良かったと幸せな気持ちになりました。
全ての事例がこれに当てはまるわけではありませんが、接客の面白さは表面的なことではなく、
このような難しいケースを解決する中にあるのかもしれませんね。
私は、特に英語が堪能なわけでもなく、ワインソムリエの資格を持っているどころか、お酒も飲めず、
和文化に卓越した知識を持っているわけでもありません。
私の強みは、「お客様から逃げずに愚直に向き合う」
「一人でも多くのJALファンを増やす」という情熱だけでした。
洗練されたスマートなラグジュアリーさが求められる職場ではありましたが、
それだけでは、距離を感じさせる乾いた接客とは異なります。
ことさら、お客様との間でトラブルが発生した時ほど、
愚直にお客様と向き合うことが何よりも大切なのです。
もし、これを読んでくださっているあなたが、接客のプロとしてお客様の前に立つのであれば、
ピンチと思える時こそ、お客様から逃げずにしっかりと向き合っていただきたいと思います。
ただし、暴力や脅迫のような犯罪行為があれば、それはあなたのお客様ではありませんし、
毅然とした対応をとるボーダーラインを間違えないでくださいね。