たったこれだけ!「お客様のお名前をお呼びする」だけで効果大!
サービスの良し悪しを決めるのはあなたではなく「お客様」です
毎回申し上げておりますが、
サービスの評価は、自分たちで決めるものではありません。
決めるのは「お客様」なのです。
もし、あなたがお客様の満足度を知りたいのなら、
「またリピートしたいか、もう二度と利用しない」かは、
一番わかりやすい接客への評価だと考えます。
そこで、お客様に「また来たい。また利用したい。」と思っていただけるよう、
私たちができることをここで一緒に考えていきたいと思います。
先日、ある会社に問い合わせたときのことです。
「関様、いつもご利用ありがとうございます」という声が受話器の向こうから聞こえました。
名前を添えた丁寧な挨拶に、私はちょっとした驚きとその会社への親しみを感じました。
このように名前を呼びかけることを、バイネーム(BY NAME)と言います。
お名前はなるべく早く、こちらから呼びかけてこそ意味があります
お客様のお名前がわかる時、名前を添えてお声がけすることは、今やCAの常識です。
例えば、搭乗前の機内では、各自が割り振られた担当エリアで、
サービスに必要なものをテキパキと準備しています。
(本当に、あと10人くらい手伝ってほしいと思うほど、忙しくバタバタしている時間帯です。)
ただ、どんなに忙しくて手一杯だったとしても、担当するお客様のお名前は急いで暗記するようにしていました。
もちろん、搭乗までの限られた時間なので「完璧!丸暗記!」とまではいきませんが、
地上スタッフから渡された情報を意識して頭にできるだけ叩き込みます。
この「バイネーム」に関して、私は強いこだわりがありました。
例えば、「19Aの鈴木様」と記された搭乗券を持ったお客様がお乗りになったら、
必ず自分から「鈴木様ですね、いつもご搭乗ありがとうございます」と笑顔でご挨拶をしました。
サービスは「先手必勝」、お名前はなるべく早くこちらから呼びかけてこそ意味があります。
なぜならば、先に挨拶するという行動は、「謙虚さ」を表し、
「あなたとコミュニケーションを取りたい」という意思表示でもあるからです。
「先手必勝」という言葉は、将棋や囲碁から生まれた言葉ですが、
相手より先に攻撃すると「有利になる」という意味合いがあります。
サービスは、サービスする側から行動を起こせば「気遣い・気配り」になりますが、
後手に回ってお客様から先に声をかけられるようなことがあれば、
それは「お客様への配慮が足りていない」ということにつながってしまうのです。
また、地上スタッフと連絡を取るために、必ず誰か一人は、全てのお客様の搭乗が終わるまで
入り口に立っている必要があります。
その際に、担当のお客様が搭乗されたら「19Aの鈴木様です。ご案内お願いします」
と必ずお名前を添えて、他のCAにご案内をお願いしていました。
その時、「お客様のご案内をお願いします」でももちろん伝わりますが、
それだとお客様は、ご自分のことを大切にされているようには感じないのではないでしょうか。
老舗旅館や一流ホテルスタッフの方が、意識的に名前を呼んでくださるように、
お客様へ歓迎の気持ちを伝えるには、バイネームが効果的なのです。
実は、お客様のお名前を知っておくことはリスクマネジメントにもつながる
バイネームを使う意図は、「歓迎の意思表示」だけでは無いんです。
実は、他にも明確な意図があってバイネームを使っていました。
例えば、CAが座るアテンダントシート(非常口サイドにあるCA用の席)の前にお座りになるお客様へのバイネーム。
離陸前にアテンダントシートの前にお座りになったお客様に
「高橋様、いつもご搭乗ありがとうございます。関と申します。本日は、どうぞよろしくお願い致します」
と、必ず言葉を交わすようにしていました。
なぜ、このようにしたのかというと、万が一の緊急時のためです。
非常口付近の座席に座ったことのある方ならご存知かもしれませんが、
その座席のお客様には「ここは非常口に接しています。航空機ドアの開閉等、緊急脱出時の援助をお願いします」
とお伝えし、離陸前に非常口用の説明書をお渡しすることが義務付けられています。
緊急時には、全員が90秒以内に脱出できるように飛行機は設計されていますが、
お客様のご協力がなければそれはできません。
特に、非常口付近に座るお客様に脱出の援助をしていただくことが必要です。
CAが乗務する一番の目的は、保安要因としての任務。1秒たりともムダにはできません。
スムーズに脱出作業を終えるためにも、ご協力いただく可能性のあるお客様のお名前を事前にお呼びして、
心の距離を縮めておく必要があるのです。
「一期一会」という言葉がありますが、これは、接遇だけの言葉ではないと思います。
たとえば、医療現場でもそうです。
救急車で運ばれた時、「患者さん、聞こえますか?」ではなく、
「関さん、病院に着きました。聞こえますか?」と確認されました。
意識が混濁しても名前を呼ばれた時は、脳は自分に声をかけられていると自覚するのです。
このように、「今」という瞬間は二度とないことを意識しなければいけない時もあるのです。
緊急事態に備えるためにも、お客様のお名前を知っておくことは立派なリスクマネジメントだと言えます。
チームワークを高め、ミスがぐっと減ることにもつながる
実は、バイネームは、お客様の前で使うだけのものではありません。
例えば、CA間でお願い事をするときにも使います。
「お客様にコーヒーをお持ちしてください」ではなく、
「小川様にこのコーヒーをお持ちしてください」と名前を明確にすることでミスがぐっと減ります。
CAが担当するお客様は大勢いるので、依頼され過ぎて忘れてしまうこともあります。
(←もちろんダメなことですが、私も到着したホテルでハッと思い出すことも・・・(その折は本当に申し訳ございませんでした。泣))
でも、お客様のお名前を伝えてお願いすることで記憶が鮮明になるんです。
これは、チームで仕事をするときに、必要なことです。
さらに、私は地上スタッフの名前を、必ず呼ぶようにしていました。
胸にはネームバッジがあるので、それを確認して
「田中さん、お忙しい時間に申し訳ありませんが、この席のお客様の乗り継ぎ便を教えていただけますか?」
このように名前を呼ぶだけで、「一つの便を一緒に飛ばす」という共通の目的を持った、「仲間意識」が生まれます。
すると、親しみを感じ、仕事がより楽しくなるのです。
もちろん個人のプライバシーがあるので、いつでもどこでも大声でお名前を呼ぶことはできません。
しかし、「ここぞ!」というタイミングでのバイネームは、
どのシーンでも大きな意味を持つということを、ぜひ覚えておてくださいね。
たった、コレだけ!?とお思いになられたかもしれませんが、
呼ばれるととても嬉しいものです。
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