接客において、挨拶はコミュニケーションをとるための最初のきっかけです。
単なる礼儀作法だと思って声をかけているだけでは、お客さまとコミュニケーションをとることができません。
ホスピタリティの高いサービスをご提供するためには、お客さまとのコミュニケーションは何よりも大事なのです。
挨拶はコミュニケーションの最初のきっかけ
挨拶を単なる礼儀作法だと思っている場合、決してそうではありません。
挨拶はお客さまとコミュニケーションをとるための最初の一歩なのです。
お客さまに対して「いらっしゃいませ」と挨拶をしたときに、お客さまは何か返事をしてくださるでしょうか?
「いらっしゃいませ」だけでは、お客さまは返事のしようがないはずです。
実際の機内でお客様をお迎えするとき。
例えば「おはようございます。本日もご搭乗ありがとうございます」
と声がけすることで、お客さまからも「おはよう」と言葉が返ってきます。
そこから、「今日も寒いですね」などと季節の挨拶などを入れることで、
お客さまとのコミュニケーションにつながっていきます。
「返事のしようがない」挨拶ではなく、
挨拶のあとにお客さまと会話を続けることができる「お返事をしていただける」挨拶を心がけましょう。
挨拶は言葉だけではない
挨拶は、直接お声がけすることをイメージしますが、言葉だけが挨拶ではありません。
例えば手紙を出す行為も挨拶の一つです。
字の上手・下手は関係なく、手書きで心をこめて手紙を出すことでお客さまに好感をもってもらえるはずです。
読みやすい丁寧な文字を心がけて、心をこめて書きましょう。
最近では手紙を出す人が少なくなっています。
ダイレクトメールがあふれている時代に、手書きの丁寧な手紙を出すことで、
お相手だけのことを考えた時間や想いまでも、お客さまにおもてなしの気持ちが伝わるでしょう。
ホスピタリティの高い挨拶+アイコンタクトでお客さまの気持ちが
日本人の場合は、シャイでアイコンタクトをあまり好まないかもしれませんが、
お客さまが「こんにちは」とおっしゃってくださるときに、
視線を手元の書類に落としたまま「こんにちは」と挨拶すれば、
お客さまは自分を大切に扱ってくれているという気持ちにはならないでしょう。
アイコンタクトは「あなたに関心を持っています」「あなたを大切に思っています」という気持ちを伝える大切な手段です。
アイコンタクトはこちらが「あなたを大切に思っています」というサインにもなりますが、
お客さまの状態や気持ちを知るサインにもなります。
例えば、いつも元気で積極的にコミュニケーションをとってくださるお客さまが、
目を合わせたときに視線をはずしたとします。
そんなときは、「今日はお疲れのご様子だな、一人で静かに過ごしたいかもしれない」と
お客さまの状態や気持ちを察して、あまりお声をかけずにリラックスしていただくという対応が可能です。
アイコンタクトは気持ちを伝えるだけでなく、
お客さまの気持ちを知ることもできる重要なコミュニケーションツールなのです。
お客さまの状態を察知して、目配りや気配りを意識した接客ができるようになれば、
コミュニケーションはさらに向上するはずです。
お客さまの満足度が変わる挨拶
【お迎えの挨拶】
挨拶+アイコンタクトで本当の挨拶になることをお話ししましたが、ホスピタリティの高い挨拶をするためにはもう一工夫必要です。
これは、実際の機内でも実践していたことなのですが、「あなたを大切に思っています」
という気持ちを伝えるために、お客さまのお名前を必ず添えるということをやっていました。
「○○様、おはようございます。いらっしゃいませ」と挨拶することで、
お客様は「自分が受け入れられている」という気持ちになります。
ご予約をいただいているときにはお名前がわかっているのですから、必ずお名前を添えて挨拶しましょう。
可能であれば、来店されたお客さまの名前や顔を覚えることです。
以前1度来店されたお客さまに「○○様、ご来店ありがとうございます」と挨拶すれば、
「一度しか来ていないのに名前を覚えてくれている」ととても喜んでくださいます。
お客さまのお名前とお顔を覚えるのは努力が必要です。
しかし、お迎えをしたときにお名前をお呼びできるかどうかで、
「その日のお客さまの満足度は変わってくる」ということを忘れないようにしましょう。
【お見送りの挨拶】
お見送りのときには、必ずお客さまの姿が見えなくなるまでお見送りしましょう。
お客さまが振り向かれるかもしれませんし、ミラー越しに後方を見ているかもしれません。
お客さまが見ていなくても、周囲の人が見ている可能性もあります。
丁寧なお見送りをすることで「この店は感じの良いスタッフがたくさんいるな」
と好感をもってくださるかもしれません。
心をこめたお見送りの挨拶は、お客さまが「大切にされている」と感じるだけでなく、
周囲の人からも「見られている」ということも常に意識して、最後まで心をこめたお見送りをしましょう。