忙しくて打ち合わせの時間がとれないとき、
「じゃ、ランチミーティングで。」となることは、このコロナ禍の前はよくあることでした。
ランチの時間がダメなら「朝食で。」と食事の時間に充てることも起業してから増えました。
実は先ほど、オフィス近くの店にランチででかけたとき、
CA時代のファーストクラスのお食事のサービスで思い出したことがありました。
食事の後のトレイが美しい超大物経営者
機内食は、トレイの上にお食事やドリンク、カトラリーやナプキンなどが所狭しと並んでいますので、
食べ終わった後はどうしたって、トレイの上が散乱してしまいやすいですよね。
そんな中でも、食後のトレイが整然としている方を見ると、思わず心の中で「すごい!」と思っていました。
ある、大物経営者の方は、「お!ご苦労さん!今日の食事は旨そうだなー!」と言うと、
お連れ様の誰よりも先にお食事に手を付けました。
なぜなら、その方が先に食べないと他の秘書の方や取り巻きの方が手を付けにくいからです。
その社長は、持病で召し上がることができない食材があったようで、いくつかお料理を端に寄せて残していました。
お食事が終わると、きちんと整えトレイの上にナプキンで蓋をして、食べる前と同じような形に整えてテーブルに置きます。
私が食後のトレイを取りにテーブルに近寄ると、私の手元にトレイをスッと寄せ小さく「ありがとう」と言ってくれました。
(2食目の時には、箸袋に「ごちそうさま!」とメッセージもお書きいただくようなチャーミングな方でした)
その方とは、よくファーストクラスでお目にかかっていたのですが、トレイはいつも他の方が食べた後とは別格でした。
食べ残しが入っているトレイに「別格」もなにもあったものではないでしょうけど、明らかなのは、整然と美しいことでした。
某有名人の方との食事で驚いたこと
ずいぶん前のことですが、某有名なアナウンサーの方と食事をする機会があったんです。
ちょっとしたお礼で私がランチをご馳走になるという場面。
私はご紹介されたレストランに行くこともその方と話をすることも両方楽しみで、張り切っておしゃれをして出かけました。
ご案内頂いたレストランは、その方のご友人が運営しているお店で、到着するやいなや何人も「いらっしゃいませ」と列をなしてお辞儀をします。
戸惑いながらも奥の個室へ通されました。
おしゃれなレストランで、繊細なお料理が乗せられたお皿が次々と運ばれてきました。
お喋りに花を咲かせながらお料理を頂いていたのですが、気になることがありました。
その方は、残念ながらどのお皿も必ず半分くらい、お料理をフォークでかき回したようにして残すのです。
グラスには口紅がついたまま。
「気にしちゃいけない・・・。見てはいけない・・・。」そう思えば思うほど、不思議なものでどんどん気になります。
私は次第にお喋りより汚れた食器の方が気になり、お食事が進むにつれ、汚れた食器とかき混ぜられた食べ残しが目について、
だんだんと残念な気持ちになってきました。
その方とは気が合うと思っていたので、もっと親しくなる良い機会だと期待していたのです。
でも、残念な気分は止められず、その方とお食事するのはこの時が最後となってしまいました。
祖母の言葉
私は、こんな食事の場面で、亡くなった祖母の言葉を思い出します。
「食べ終わったら、食器を下げる人の気持ちを考えなさい。汚い皿を手で持って台所へ下げるのは気持ちの良いことではない」
「皿の上に食べられないものは乗せられていない。食事は残さない。どうしても残すなら、見た目を綺麗に整えて残しなさい」
「皿の上の汚れは添え物でまとめなさい」
「食べ終わった食器は重ねてはならない。食器が傷つくのと、油ものの上に重ねると洗い物が増える」
どうってことない話なのですが、今日は久しぶりにこんな祖母の言葉を思い出しました。
食後のテーブルには、その人の日常が出ていることがあります。
下げる人が気持ちよく仕事ができるように、目の前の小さな場を整えることができる人は、
仕事でも家庭でも、混乱した場を整えるのが得意な人です。
なぜなら、それが「思いやり」の正体だからです。
想像力は思いやり。
思いやりを形にしたものがマナーです。
細かくどうこう言うことではありませんが、
食器を下げる人の気持ちを忘れずにいたいものだと思った昼の時間の光景でした。
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